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2023/11/30 11:45
CBDがアルコール依存に対して、どのような効果を得られるかと言う研究結果によるエビデンス報告。
著書「CBDの科学」より
*予備的な前臨床研究の結果は、CBDはアルコールの消費量を減少させるほか、肝臓や脳の損傷など、アルコールの有害作用の一部を防ぐ可能性があることが示唆されています。(Nona, Hendershot, and Le Foll, 2019, De Ternay et al. 2019)。
*アルコールの影響に対するCBDの作用を調べた前臨床研究では、アルコールの消費量および飲酒意欲、再発と離脱症状、ならびにアルコール誘発性肝障害および脳障害からの保護について評価しました。
アルコールの経口自己投与に対するCBDの効果を評価するために、マウスには徐放性(20mg/kg/day)のCBDを単回皮下注射してから自己投与を開始させた。
CBDは、アルコール消費量と、アルコールを求めてマウスが積極的にレバーを押す回数を有意に減少させた(Viudez- Martinez Garcia-Gutierrez, Fraguas-Sanchez et al, 2018)。
ただし、マウスがアルコールを得るためにより大きな努力を必要とするよう課題を難しくしていくと(漸進的強化スケジュール)、飲酒意欲を低下させる効果はなくなった。一方、同じ研究チームによるその後の研究(Viudez-Martinez, Garcia-Gutierrez, Navarron et al. 2018)では、非常に高用量のCBD(120mg/kg)が、アルコールを得るために努力する意欲を減退させることが示されたが、その作用機序は調査されていない。
不快な離脱症状を排除したい、というのが、薬物使用が再発する理由の一つであるが、CBDには、アルコール離脱症状および再発を減少させる可能性があることを示すエビデンスがある。前臨床研究では、CBD (60mg/kg、ip)はエタノールの自己投与の減少に有効であり、非常な高用量(120mg/kg、ip)ではエタノール
使用の再発を抑制することが示されている(Viudez-Martinez, Garcia-Gutierrez,Navarron et al, 2018)。
実際に、CBD(15mg/kg、経皮投与)を7日間毎日投与したところ、環境トリガーおよびストレス誘発性のエタノール投与の再発を、CBD投与後最長138日間減少させた(Gonzalez Cuevas ct dl, 2018)。なおCBDは、鎮静作用もなく、正常な動機に基づく行動も阻害しなかった(通常行われるショ糖溶液の自己投与によって観測)。
CBDはまた、エタノールの離脱症状が起きているマウスの誘発性発作を減少させた (Samartin and Detyriecki, 2018)。
アルコールによる肝障害には、肝炎や肝硬変を引き起こす脂肪肝があり、アルコールによる脳障害には、神経炎症、細胞死、認知障害などがある(Nona, Hendershot, and Le Foll 2019)。
CBD (5mg/kg, ip)をアルコール過剰摂取モデルの30分前に、5~11日間にわたって投与したところ、肝損の複数のマーカーにおいて、肝積傷が減少することが示された(Yang et al.2014. Wang et dl. 2017)。
また、CBDはアルコール誘発性神経毒性を減少させる見込みがあることも示されている。高用量のCBD (40mg/kg、ip)を、4日間のアルコール過剰摂取期間のうち3日間投与したところ、海馬および嗅内皮質の損傷が軽減された(ただし 20mg/kgでは軽減されなかった)(amelink et dl.,2005)。同様に、CBDの経皮用ジェル(5および2.5%)を使用した場合、または 20mg/kgのCBDを一日2回皮下注射した場合も、肝障害の軽減に有効であった(Liput et dl.2013)。
CBDはまた、アルコール性肝疾患から肝細胞を保護する機構であるオートファジーを促進する(Yang et al. 2014)。CBDとアルコールとの相互作用に関するごく少数の臨床研究は、1970年代後半から1980年代前半に行われたものである(Belgrave et dl. 1979: Consroe et al..1979: Bird et al. 1980)。これらの研究は、人との付き合いのために酒を飲む程度の健常な被験者を対象に、プラセボ、アルコール、CBD、およびアルコール+CBD
の組み合わせの影響下で一連の検査を受けさせた。CBD 単独では、運動能力や精神運動能力に影響はなく、自覚的影響もなかった。CBD (200mg)とアルコールの同時投与(Consroe et al. 1979)は血中アルコール濃度を低下させた。
しかし、これらの研究はいずれも、CBD がアルコールによる酩酊を妨げることを示してはいなかった。CBD がアルコール消費量やアルコール誘発性の肝障害または脳障害を阻害する可能性については、質の高い臨床試験はこれまで実施されていない。しかし、オピエート依存症に対するCBDの治療可能性が認識されたことにより、重度のアルコール使用障害(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03252756)およびアルコール使用障害と心的外儀後ストレス障害を併発している成人(https://clinicaltrials.gov/ct2/show /NCT03248167)を対象とした臨床試験が進行中である。
これらの試験の結果によっては、この疾患の治療におけるCBDの利用に期待が持てるかもしれない。